目次
はじめに
ステージング環境とは、簡単に言えば本番環境とそっくりなサーバー環境のことだ。
当ブログで利用しているさくらのレンタルサーバーには、標準でこれを構築する機能が備わっている。
ステージング環境の目的は、主に本番環境に適用する前の変更を事前に確認するためだ。
WordPressの場合はプレビュー機能を使えば投稿内容については事前の確認が可能だが、WordPressそのものの設定を変更するような場合には事前に確認を行う仕組みは用意されていない。
このようなケースでは、文字通りぶっつけ本番で設定を変更せざるを得ない。
万が一、変更ミスなどがあった場合、最悪の場合はサイトが表示できなくなってしまう事態も考えられる。
ステージング環境があれば、そのような状況下でも事前に変更結果を確認することが可能だ。
ステージングサーバーは、原理的には、サーバー上のあらゆる変更を事前に確認することができる。
そのため、ある程度以上の規模のサイトを運用する場合は、ステージング環境の構築はほぼ不可欠だと言えるだろう。
今回は、ステージングサーバーの構築から、ステージングサーバー上でWordPressの設定を変更する作業までを試してみることにする。
使い方
ステージング環境の構築は、サーバーのコントロールパネルから行うことができる。
まずは、サーバーにログインしよう。
ログインページのURLは、以下の通りだ。
https://secure.sakura.ad.jp/rs/cp/
ログインページを開くと、以下の画面が表示される。
ここでは、ドメイン名とパスワードを入力して「ログイン」ボタンを押下しよう。
ログインに成功したら、画面左側のサイドメニューから「Webサイト/データ」を選択し、さらに表示されたサブメニューから「バックアップ」を選択しよう。
すると、バックアップ&ステージングの画面が表示される。
この画面に「SnapUp」というボタンがあるのでこれを選択しよう。
ところで、先に「バックアップ&ステージングの利用」を開始していないと、「SnapUp」ボタンが表示されないかも知れない。
その場合は、バックアップ&ステージングの「利用開始」ボタンを押下しよう。
なお、バックアップ&ステージングの使い方については、以下の関連記事を参照されたい。
ステージングサーバーの作成
さて、「SnapUp」ボタンを押下すると、これまでとは全く雰囲気の異なる以下のような画面が表示される。
これがSnapUpのトップ画面とも言うべき画面だ。
ここでは右側に表示されている既存のサーバーを選択しよう。
すると、以下のようなSnapUpの管理画面が表示される。
その画面の左上に「サイトを追加する」という項目があるはずだ。
次はこれをクリックしよう。
すると、追加するサイトの情報を入力する画面が表示される。
ここでは、「サイト名」と「サイトタイプ」および「サイトパス」の3項目を設定する必要がある。
「サイト名」には好みの名前を付ければよいが、「サイトタイプ」はサイトの内容に応じて選ぶ必要がある。
当サイトはWordPressを使っているブログサイトなので、「WordPress」を選択した。
「対象パス」には管理対象のディレクトリーパスを設定すればよいが、WordPressの場合は下部の「WPパスを選択」の欄に候補が表示される。
その部分をクリックすると、「対象パス」の欄に当該のパスがコピーされる仕組みとなっている。
設定が完了したら「追加」ボタンをクリックしよう。
これでステージングサーバーに設定する「サイト」の追加が完了した。
次がいよいよステージングサーバーの作成だ。
まずは、画面左側から、ステージングサーバーを設定するサイトを選択する必要がある。
ここでは、今作成したサイトを選択しよう。
この画面の右上あたりには、「ステージングサーバーを作成する」というボタンが表示されているはずだ。
次はこのボタンをクリックしよう。
続いて、以下のようなステージングサーバー名と通信プロトコルを設定する画面が表示される。
「ステージングサーバー名」には好みの名前を付けて構わない。
「http / https」の欄には、本番用のサーバーと合致する通信プロトコルを設定すればよいだろう。
当サイトは「https」なので、ここではhttpsを選択することにした。
「MySQLバージョン」と「PHPバージョン」の欄は、通常は本番用のサーバーに合わせればよい。
ただし、本番用サーバーと異なるバージョンでの挙動を確認したいケースなどでは、ここで意図的に変更することも可能だ。
今回は、MySQLとPHPの最新バージョンでの挙動を確認する意味で、それぞれ「5.7」と「7.4」を選択してみた。
すべての設定が完了したら「追加」ボタンを押下しよう。
しばらく待つとステージングサーバーの設定画面が閉じ、元の管理画面が表示される。
以上で、ステージングサーバーの作成は完了だ。
ステージングサーバーへコンテンツを設定
続いては、ステージングサーバー上に表示するコンテンツの設定をしよう。
コンテンツの設定方法は、バックアップデータをステージングサーバーへ転送する方式となっている。
具体的には、取得済みのスナップショットをバックアップデータとして利用し、これを転送することになる。
スナップショットデータの取得方法は、前出の関連記事「さくらレンタルサーバーのバックアップ機能を使ってみた」を参照されたい。
なお、スナップショットはサイト単位で管理される仕組みなので、今回作成したサイト用に新たに取得したスナップショットのみが転送可能だ。
さて、今回は下記のスナップショットをステージングサーバーへ設定してみることとしよう。
スナップショットを選択してクリックすると、下記のようにリリース先を選択する詳細部分が表示される。
ここでは「ステージングサーバーへセット」を選択しよう。
続いて以下のような確認画面が表示される。
ドメインの引っ越しなどの用途の場合は「サイトURLの書き換えを行わない」を選択する必要があるのだが、通常は「サイトURLをリリース先に合わせる(既定)」を選択しておけばよいだろう。
準備ができたら「OK」ボタンを押下しよう。
すると、ステージングサーバーにスナップショットをセット中との旨を案内するウィンドウが表示される。
しばらく待つと上記のウィンドウが閉じる。
特に完了のメッセージなどは出ないのだが、上記ウィンドウが閉じたタイミングでステージングサーバーへのセットは完了している。
以上でステージングサーバーへのコンテンツの設定は完了だ。
ステージングサーバーの挙動確認
これまでの手順でステージングサーバーの設定が完了し、挙動を確認できる状態になっているはずだ。
それでは、実際に確認してみよう。
ステージングサーバーへのアクセス方法は、SnapUpの管理画面にステージングサーバーへのリンクが表示されているはずなので、それを利用しよう。
具体的には、SnapUp管理画面の右上あたりに当該のリンクが表示されているので、こちらをクリックしよう。
初めてステージングサーバーにアクセスすると、以下のようにユーザーIDとパスワードの入力を求められる。
ここでは、一度SnapUpの管理画面に戻ろう。
通常はステージングサーバーの画面は別タブで開くので、SnapUpの管理画面は隣のタブに残っているはずだ。
すると、先ほどクリックしたリンクの下の方に「認証情報を確認する」と記されたボタンがあるはずだ。
次はこれをクリックしよう。
すると、以下のようなサブウィンドウがポップアップする。
このウィンドウに、ステージングサーバーにアクセスする際に必要なユーザー名とパスワードが記載されている。
なお、この画面には「phpMyAdmin」のユーザー名とパスワードも記載されているので、ステージングサーバーのデータベースをphpMyAdmin経由で直接操作することも可能だ。
もちろんデータベースの操作には専門的な知識が必要となるので、専門家以外の方は安易に操作しないことをおすすめする。
さて、ユーザー名とパスワードを入手したら、画面右上の「×」マークをクリックしてウィンドウを閉じ、ステージングサーバーの画面に戻ろう。
入手したユーザー名とパスワードをそれぞれのフィールドに入力しよう。
全ての準備が整ったら「OK」ボタンを押下しよう。
すると、ステージングサーバーの画面が表示される。
元のサイトと全く同じ画面が表示されていることが分かるだろう。
ステージングサーバーのWordPressにログインする
ステージングサイトの表示が確認出来たら、次にやりたいことはステージングサイトの変更だ。
まずは、ステージングサーバーのWordPressにログインしよう。
ログインのURLは元のサイトの状態によって異なるので一概には言えないのだが、特にログインURLの変更などをしていなければ以下のような形式になっていることが多いようだ。
・http[s]://(ステージングサーバーのURL)/[wp-login.php|wp-admin]
プロトコルは http の場合や https の場合がある。
URLの最後は、wp-login.php だったり wp-admin だったりすることがあるようだ。
プラグインなどを導入して意図的にログインURLを変更している場合は、上記とは異なるURLになっていることもある。
ログインURLはブックマークしておけばよいが、初めてログインする場合はアドレスバーに直接URLを入力してもよいだろう。
正しくURLを入力してEnterキーを押下すると、以下のような見慣れたWordPressのログイン画面が表示される。
ここでは、本番用サーバーのWordPressにログインする場合と同じユーザー名とパスワードを入力しよう。
先ほどステージングサーバーにログインする際に用いたユーザー名とパスワードを入力するのではない。
準備が完了したら「ログイン」ボタンを押下しよう。
2要素認証などを行っている場合は、さらに認証コードの入力画面が表示されると思うが、デフォルトのままWordPressを使っている場合はこれでログインが完了するはずだ。
以下は、ステージングサーバー上のWordPressにログインした状態だ。
以降は、通常のWordPressと同様に編集作業を行うことができる。
以上で、ステージングサーバー上のWordPressへのログインは完了だ。
まとめ
今回は、さくらのレンタルサーバーでステージングサーバーを利用する方法を解説した。
サンプルには当サイト自身を使用し、ステージングサーバー上のWordPressにログインするまでの手順を示した。
WordPressサイトの大掛かりな変更時には、直接本番用のサーバー上で作業をするのではなく、先にステージングサーバー上で動作の確認を行ってからにすることをおすすめする。