はじめに
クレジットカードの利用明細を見ていたら、見覚えのない引き落としがあった。
ノートンライフロックなる会社からの引き落としで、金額は12,710円だった。
この引き落としには全く覚えがなかったが、ノートンと言う名前には聞き覚えがあった。
これはシマンテック社が販売しているセキュリティ製品の名前だ。
しかも、過去にこの製品を購入したことがあった。
すわ、誤請求ではないかと直感した。
同時に、なぜ今さらと言う思いがよぎった。
シマンテック社の製品を使うのをやめたのは何年も前のことだ。
そんな昔の請求情報がなぜ掘り起こされるのだろう。
あるいは不正使用等のセキュリティ事故が起きているのか。
様々な考えが巡った。
この時の顛末記を備忘として残しておく。
全く覚えのない請求
以下は、とあるカード会社から届いた請求明細の一部だ。
そんなに多くの用途には使っていないカードなので、請求明細に並ぶ項目の数はわずかで、かつ見覚えのあるものばかりだ。
ところが、今月分は違った。
全く見覚えのない会社名が印字されていたのだ。

それが明細の4行目に印字された「ノートンライフロック」なる会社だ。
12,710円と言う金額にも記憶がなかった。
前述の通り、過去にシマンテック社が販売していた「ノートン」と言う製品を購入したことがあったので、その関連だろうと当たりを付けた。
シマンテック社のユーザーアカウントを引っ張り出してログインしてみると、会社名が「ノートンライフロック」に変わっていることが分かった。
謎の一つは解けた。
請求明細に書かれていたノートンライフロックとは、旧シマンテック社のことだった。
ただし、製品の契約は何年も前に終了しており、当方のクレジットカードの情報も登録されていないことが分かった。
クレジットカードの情報が登録されていないのに請求が来て、引き落としまでされるとは一体どういうことだろう?
嫌な予感が雲のように広がり始めたが、カード情報を登録しないで直接カード番号を打ち込んだ可能性もあるとは思った。
むしろ個人的には、クレジットカードで買い物をする際には、なるべくサイトに番号を登録せず、都度カード番号を打ち込むようにしている。
万が一サイトから個人情報が漏洩しても被害を受けずに済むからだ。
もしこれがカードの不正利用だとするとカードを即座に停止しないと危険だが、それにしてはこの12,710円が引き落としされたのは2か月くらい前のことで、それ以降は特に怪しげな取引履歴はないようだ。
もし悪意ある人物がカード情報を不正に入手したら、カードを停止される前に残高を使い切ってしまおうとするだろう。
そう考えると、少し甘いのかも知れないが、不正利用の可能性は低そうだと、この時点でようやく安心した。
すると、やはり可能性が高いのは、ノートンライフロック社(以下ノートン社)による誤請求だろう。
だが、そうだとすると、なぜ当方のカード情報をノートン社が知っているのかが分からない。
アカウントにはカード番号を登録していないので、手入力したデータを利用した可能性が高いのは前述の通りだが、既にノートン社の製品を使うのを辞めてからもう何年も経過しているのだ。
何年も前の古い情報がなぜ生きているのだろう。
もしやノートン社は個人情報の削除を適切に行っておらず、過去の顧客の情報をこっそり保管しているのではないかなどの疑問がふつふつと湧いてきた。
ここで誤解があるといけないので先に打ち明けてしまうと、結論としてはノートン社には非はなく、もちろん個人情報の不適切な管理などは一切なかったことを明言しておきたい。
あくまでも当方の勘違いによる疑念の過程を書いているだけだ。
もちろん、当記事にノートン社を非難する意図は全くない。
事態が解決に向かったのは、旧シマンテック社がノートンライフロックに名称を変更した経緯を知りたいと思い、Wikipediaを閲覧したのがきっかけだった。
Wikipediaのシマンテックの項目には、以下のような一文があった。
旧シマンテックはノートンライフロックを経てジェン・デジタルに社名を変更し、個人向けセキュリティ製品のノートンを販売している。
どうやら旧シマンテック社は、ノートンライフロックからさらに別のジェン・デジタルという社名に変更になっているようだ。
続いて、このジェン・デジタルのWikipediaを参照すると、そこには以下のような情報が書かれていた。
2021年8月、同業のAvastを買収し、吸収合併することを発表した[17]。
Avastは20年以上前から使われている老舗のセキュリティ製品で、一時期はかなりの人気を集めた製品だった。
最近はあまり名前を聞かなくなってしまったが、当方は古いWindows10のPCでこの製品を使っていたのだ。
もしやこれが謎の引き落としの正体ではないかと気づき、慌ててAvast社との契約内容を確認すると、まさに引き落としがあった当日にライセンスの更新が行われていた。
金額も12,710円で完全に一致した。
何のことはない。
当方が自分で購入した製品の代金が正常に引き落とされただけのことだったのだ。
早とちりしてサポートにクレームを付けたりする前に気づけたのは幸いだった。
ただ、会社名がいつの間にか変更され、それによってカード会社の請求明細に見知らぬ名前が突然現れるのは、避けられないことなのだとは理解できるものの、勘弁して欲しいとも思わざるを得なかった。
参考までに、ネットでノートンライフロックを検索すると現れるサジェストには、「請求」、「電話番号」、「返金」、「解約」などのやや不穏な事態を予測させるような単語ばかりが目に付くようになっている。
見ず知らずの会社から突然請求が来て驚いた人が沢山いるのだろうか。
うっかり社名を変更すると、サジェストが思わぬ方向に汚染されてしまうことがあるという実例なのかも知れない。
ちなみに、サジェストの中には「アバスト」という項目もあった。
もしかすると当方と同じ勘違いをして、不安な思いをした方がいたのかも知れない。
終わりに
ノートンライフロック社とは旧シマンテック社のことで、2021年には同業のAvast社を買収している。
そのため、旧シマンテックやAvastの製品の請求明細には、今年からノートンライフロックの名称が使われるようになった模様だ。
これらの製品を使っている方は、知らない会社名が請求明細に現れても驚かず、まずは落ち着いて契約の確認をするのがよいだろう。