はじめに
ePSXeはプレイステーションの優れたエミュレーターだ。
BIOSなどの用意が不要で簡単に使えるし、最初から日本語に対応していて使いやすいし、何よりも動作が安定している。
ただ、個々のセーブデータを管理する仕組みは用意されていない。
もっとも、実機におけるメモリーカードの代わりになるのは通常のファイルなので、その弱点はそこまで大きな問題にはならない。
必要ならファイルごと移動するなりバックアップするなりすればよいからだ。
それでもやはり、セーブデータを個別に管理することができればさらに便利だ。
実はそのようなツールが意外なところに存在していた。
XEBRAという別のプレイステーションのエミュレーターがあるのだが、このアプリに付属のツールが、ePSXe形式のセーブデータを直接操作できるのだ。
今回は、このXEBRAに付属のツール「MCIM.EXE」を使用して、ePSXeのセーブデータを管理する方法を紹介することにする。
なお、XEBRA自身も優れたエミュレーターだと思われるが、あまり使った経験がないため、詳しくは紹介できないことをご了承いただきたい。
MCIM.EXEの入手
MCIM.EXEはXEBRAに付属したツールなので、まずはXEBRAを入手しよう。
公式サイトのURLは以下の通りだ。まずはこちらにアクセスしよう。
https://drhell.web.fc2.com/ps1
すると、以下のようなサイトが表示される。
このページを一番下の方までスクロールしよう。
ページを一番下の方までスクロールすると、以下のようなリンクが並んでいる箇所が表示される。
この中から、一番上の「XEBRA FOR PC」を選ぼう。
すると、以下のようにzipファイルがダウンロードされる。
このzipファイルを展開すると、以下のようなファイルが出現する。
この中の赤枠で囲ったファイルが目的の「MCIM.EXE」だ。
使い方
エクスプローラーから「MCIM.EXE」をダブルクリックすると、以下のような画面が表示される。
MCIMでは、「CARD1」と「CARD2」の2つのスロットに、セーブファイルをそれぞれドラッグ&ドロップで貼り付けて編集できるようになっている。
文字が黄色に反転している方が選択されているスロットとなる。
現在はCARD1の文字が黄色に反転しているので、こちらが選択されているスロットだ。
選択されているスロットを変更するには、以下の赤枠の領域辺りをクリックすればよい。
CARD1を選択したい場合はCARD1の下の領域、CARD2を選択したい場合はCARD2の下の領域を選択しよう。
なお、起動直後は必ずCARD1が選択されている。
ちなみに、CARD1やCARD2という表記は、メモリーカードの1や2のことを全く意味していないので注意が必要だ。
つまり、メモリーカード1用のファイルをCARD2に貼り付けて編集することや、メモリーカード2用のファイルをCARD1に貼り付けて編集することが可能だ。
この辺りは直感的に理解しにくいので、今どのファイルをどちら側に貼り付けて編集しているかを忘れないように注意しよう。
できれば事前にセーブファイルのバックを取得しておくとよいだろう。
なお、ePSXeのセーブファイルの格納場所は以下の通りとなっている。
(ePSXeインストールフォルダー)\memcards\games
ところで、ePSXeの場合、セーブファイル名はデフォルトではゲーム毎に独自の規則で決められるようになっている。
複数のゲームを遊んでいると、どのファイルがどのゲームのセーブデータなのか判別が難しいので注意しよう。
そのようなケースでは、ファイルのタイムスタンプを見て判断するなどすると良い。
基本的には、ゲームを起動してセーブデータをロードする辺りのタイミングで、セーブファイルのタイムスタンプが更新されるからだ。
以下は、プレイステーション用ゲームソフトの、ファイナルファンタジーⅦとファイナルファンタジーⅧのセーブファイル名の例だ。
ファイル名の書式や、拡張子などは各ゲームで共通になっているようだ。
それでは、実際に管理したいセーブファイルをMCIMの画面にドラッグ&ドロップで貼り付けてみよう。
今回はファイナルファンタジーⅦのスロット2対応のファイル、「SLPS_007.00-01.mcr」を貼り付けてみることにする。
スロット2対応のファイルというのは、要はゲーム内でスロット2を選択して保存したデータが格納されているファイルのことだ。
ドロップ先は恐らく画面上のどこでも良いのだが、貼り付けられる先は前述の通り選択されているスロットの方になる。
初期状態ではCARD1が選択されているので、CARD1の下の領域にセーブデータが展開されることになる。
以下は、前述の「SLPS_007.00-01.mcr」を貼り付けた場合の例だ。
コピー機能
MCIMには各種の便利な機能が用意されている。
上記画面の例をサンプルとして順に紹介していこう。
最初は「コピー」の機能だ。
これは、任意のセーブデータを別のスロットにコピーする機能だ。
画面中央部に縦に並んだボタンの一番上にある「COPY」を押下してみよう。
すると、CARD1の下に表示されていたセーブデータのうち、選択されていたデータが右側のCARD2の下にコピーされる。
ここで、このCARD2のデータをファイルに保存すれば、選択したセーブデータのみが保存されたセーブファイルが生成される。
ちなみに、任意のセーブデータを選択するには、セーブデータをクリックすればよい。
選択されたセーブデータは表示が明るく反転し、画面下部の横に長い長方形の領域に内容が表示されるようになる。
保存機能
続いては「保存」機能の紹介だ。
上記で作成したCARD2の内容を保存してみよう。
まずはCARD2を操作対象とするため、CARD2の下の領域をクリックしよう。
すると、CARD2が選択されるので、ここで「FILE」をクリックしよう。
すると、下記のようなファイル選択のダイアログが表示される。
ここで、セーブファイルを直接上書きするのはできれば避けよう。
新たなファイル名を指定するか、または下記のように別フォルダー上のファイルに上書きするなどして、なるべく事故が起きないようにしておくのがおすすめだ。
以下は、上記のセーブファイルをePSXeのセーブファイル用フォルダーに上書きしてゲームを起動した場合の例だ。
スロット2のセーブデータが、コピーしたデータだけになっていることが分かるだろう。
一括コピー機能
続いては「一括コピー」の機能を紹介する。
これは、複数のセーブデータを別のスロットにコピーする機能だ。
画面中央部の縦に並んでいるボタンのうち、上から2番目の「COPY ALL」にその機能が割り当てられている。
サンプルとして、「コピー」の説明で利用したセーブデータを再度使うことにする。
以下は、「SLPS_007.00-01.mcr」をCARD1の下の領域に貼り付けた直後の画面だ。
この状態で、「COPY ALL」を押下してみよう。
すると、直ちにCARD1配下の全セーブデータがCARD2にコピーされる。
「COPY」の場合と異なり、事前に対象のセーブデータを選ぶ必要はない。
以下は「COPY」の場合と基本的には同じだ。
繰り返しになってしまうので詳しくは書かないが、編集結果を保存するには、「COPY」で紹介した時と同様に「FILE」を選択してファイルとして保存する必要がある。
削除機能
続いては削除機能の紹介だ。
この機能は、任意のセーブデータを削除する機能だ。
CARD1とCARD2のどちらのスロットのセーブデータも削除できる。
削除を行うには、あらかじめ対象となるセーブデータを選択する必要がある。
その状態で「DELETE」を押下すると、そのセーブデータが削除される。
それでは、前出の「COPY ALL」を押下した直後の状態でこの機能を試してみよう。
今回はCARD1側の真ん中のセーブデータを削除してみることにする。
まずは、対象のデータをクリックして選択しよう。
すると、以下のように対象のデータがハイライト表示される。
この状態で、中央部付近の「DELETE」ボタンを押下しよう。
すると、以下のような確認ダイアログが表示される。
ここで「NO」を選択すれば削除は中断され、「YES」を選択すれば削除が実施される。
今回は、「YES」を選択してみよう。
すると、以下のように選択したセーブデータが削除される。
なお、この編集結果を実際のファイルに反映させるには、「FILE」から保存を選択する必要があるのは他の機能と同様だ。
全削除機能
最後に紹介する機能が全削除だ。
これは文字通りスロット内の全セーブデータを削除する機能だ。
現在選択されている側のスロット内の全セーブデータが削除される。
前出の「DELETE」で使用したデータをサンプルとして再利用してみよう。
現在はCARD1が選択されているので、こちら側のセーブデータが全部削除されるはずだ。
この状態で、「FORMAT」を押下しよう。
すると、以下のように確認のダイアログが表示される。
全削除を実行してよければ「YES」を押下しよう。
ここで「NO」を押下すれば、全削除を取り消すことができる。
すると、以下のように選択されたスロット内の全セーブデータが削除される。
この結果を実際のファイルに反映させるには、「FILE」を選択して保存を実行する必要があるのは他の機能と同様だ。
注意事項
以上で、MCIMの機能の紹介は終了だが、一つだけ注意事項がある。
実をいうとMCIMにはマニュアルの類が添付されていないため、今回紹介した内容は全て試行錯誤した結果をまとめたもので、公式のものではない。
紹介した範囲内の機能は全て確認済みだが、公式に動作が保障されているわけでない点は注意していただきたい。
まとめ
ePSXeのセーブデータ管理ツールとして、別のPS1エミュレーター「XEBRA」に付属しているツール「MCIM.EXE」を使うやり方を紹介した。
記事で取り上げた機能については動作確認済みだが、公式に動作保証がされているわけではないことには注意していただきたい。